monobook
Search : ブログを検索

About : 2006年05月

2006年05月にブログ「monobook | Blog」に投稿されたすべてのエントリです。新しい順に並んでいます。

前のアーカイブは2006年04月です。

次のアーカイブは2006年06月です。

Category : カテゴリー

« 2006年04月 | メイン | 2006年06月 »

2006年05月 アーカイブ

2006年05月15日

鳥は星型の庭に降りる

ある人が僕と話しているときこう言った。
「たぶん、その言葉は長くわたしのなかにあると思う」
この一言は、僕の中で心地よく響いた。
「決して忘れない」とか、「ずっと覚えてる」のような言葉に含まれるある種の傲慢さがなくて、とても清々しいと思った。

武満徹の展覧会。
休日だというのに、訪客は少なかった。
横浜のルーブルや、藤田嗣治展には、時間を持て余した主婦や、一知半解の、薀蓄を振りかざすオジサンたちで溢れ返っていたのに。
まぁいいや、ゆっくり観よう。いや、聴こう。
武満の音楽を聴くと、小さな器に多量の水が入らないように、自分の頭の中が混乱してしまうことがある。 それは、僕が音楽を整合性のあるものとして聴いてしまうきらいがあるからなんだけど、展示場で流れる断片的な武満のピアノは、すっきりと自分に浸透した。 彼の音楽は、どこを取り出しても、美しい。

武満が関わった人たちの作品や言葉が並んでいる。
パウルクレーの絵があって、瀧口修造の素敵な詩があって、
ノーヴェンバーステップスの譜面があった。ジョンケージの「マルセルについては何も言うまい」(僕はこの作品に色々な場所で出会う)があって、杉浦康平の作品が並ぶ。 なんて楽しい時を過ごしていたんだろうコイツ!



僕は数学的に完成された秩序の中、今作曲をしている。
旧態依然の自分をかなぐり捨てるようにしかし、囲いの中で安穏して、作曲をしている。
過去の偉大な作曲家の遺志が溶けている秩序の中で。
こうした素敵な展覧会へ行くたび、素敵な文章、素敵なデザインに触れるたびに、創造意欲は途端に増す。 シンプルな幸せが内で喚起する。 秩序から離れた場所で。
だから、音楽は嫌いだ。僕は絵を聴きに行く。

ところで、堂本尚朗は素晴らしい。
彼の移り変わるスタイルにとてもとても共感した。成熟したと意識した刹那の瞬間、彼の価値観は変貌している(はず) 。僕は彼の変化が好きだ。

「たぶん、その言葉は長くわたしのなかにあると思う」
これが今の僕の知性であり、美意識です。
(発語した本人は何の意図もなかったんだろうけど)
そういう音楽を奏でたい。

This site requires the lastest Macromedia Flash Player.
Powered by Movable Type 3.33-ja