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2007年01月 アーカイブ

2007年01月12日

潮風王国

村上春樹久しぶりに読んでます。ので、春樹風な日記を書こう。

僕は東京駅から出発する白浜行きの長距離バスに乗り込んだ。車内には、青いセーターを着た少女と、(少女の祖母だろうか)初老の太った老婦人が身体を寄せ合って座っている。祖母は少女の頭と鼻を自分の肩に強く押し付け、少女は片腕で祖母の手首を掴んで、ピエトロの描いたマドンナのように焦点の定まらない目で一点を見つめている。
車内には、JALのパイロットのようにきびきびとした動作の運転手と、ピエトロの宗教画の二人と僕の4人だけしかいない。誰が真冬の平日に白浜なんかに向うものか。まともな人間は真冬に寂れた漁村には行かない。旅行にしたって、温泉やくっきりとした保養地を選択するはずだ。とにかく僕は渋々切符を買って、この白浜だか館山だかに向うピカピカの大型バスに乗った。

窓の風景が少し揺れて、バスがするりと走り出す。窓から差す一筋の光が僕の目の前を律儀に素通りして、少女の顔を宿命的に照らした。僕は鈍い色のカーテンを引っ張り窓を三分の一だけ隠し、読みかけの「カラマーゾフの兄弟」を開いた。人生の隙間は本や音楽で埋めればいいのだ。そうすれば見栄えもいいし、後味も悪くない。
15分後、歪んだ活字が身体に染みこんで、僕は酔った。観光バスなんかに無感動だった胃も、やれやれとため息をついて萎縮しはじめる。やれやれ。
隣を見ると、ピエトロのマドンナがいつのまにかこちらを見ている。目が合って彼女の表情がわずかに歪む。とは言え、ピエトロ ペルジーナがアンドレア ボッティチェッリになったぐらいの違いだ。彼女の目は少し非難の色を湛えている。バスの中、15分読書したくらいで軽やかに酩酊する妙な男を睥睨しているのだ。君はピエトロでも、一人ぐらいブロンツィーノの「愛の寓話」を実演している男がいてもいいじゃないか。

僕は、することもなくなったので、窓の外をぼんやり眺めることにする。内房総の辺りに入ると道路の両脇に植えられている木々は南国風の並木に変わった。それに伴って、停車駅の名前も、歌舞伎町の風俗店か、錦糸町のキャバクラのような名前に変わっていった。「潮風王国」や「枇杷倶楽部」とかだ。誰がバスの停留所にこんな名前をつけるんだろう。きっと、少し痩せていて、牛肉が大好物で、アスパラガスの嫌いな中年の男だ。彼らはバスの停留所や、野菜カレーなどをいつも敵視しているのだ。そういう人間が、商店街の街灯に色とりどりの造花をくっつけてみたり、即物的なカレーを売ったりする。僕は、どれだけ潮風王国に入国しようかと思ったけれど、少し考えてやめた。僕はこれから、コンテンポラリーダンスの練習に行かなくちゃいけないんだ。だいたい、イミグレーションで観光ビザを受け取る前に、僕は捕まってしまう。いつもそうなんだ。それこそ、そんな無駄足はできない。

つづ・・かねーよ。
さて、
今日自転車を撤去された。CAZZO!
明日は石川町に練習しに行って、表参道と渋谷のナディフにCDを納品する。ナディフいいよ。店員の女の子素敵だし。
ビル・ヴィオラ展の感動をぐだぐだ綴ろうかと思ったけど、今度でいいや。

2007年01月05日

正月

ああもう、お正月は身体のあらゆる営みを緩慢にする。
鍵盤は石のように固くて触れたくないし、靴はからからに乾燥してしまって、外にも行けない。

キースジャレットの音楽なんかを聴きながら、本を持って、モエレ沼公園か、グエル公園に行きたい。または、日当たりの良い木場公園もいいな。ぼくは木場公園がなぜか好きなのだ。
人の手が通った人為的な公園がいい。それでいて美しい場所。

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